2018年12月18日

消費税増税時のローン減税控除期間延長は15年ではなく13年に

 2018年12月14日、与党の2019年度税制改正大綱がまとまりました。住宅関連では、ローン減税の拡充が目玉で、現在の控除期間10年が13年に延長されることになりました。消費税増税による負担増を緩和しようというもので、多くの場合、消費税増税による負担増加分と同程度の減税額の増額になりそうです。

●15年間への延長には財源の問題などが重しに
 このローン減税の拡充案、当初は現行の控除期間10年から15年に延長する案が有力で、山下もそれを前提に各種メディアで取り上げてきました。もちろん、確定情報ではないので、変更の可能性があることも触れてきたつもりですが、予想通りにならなかったこと、誠に汗顔の至りです。
 この12月14日にまとめられた与党の税制大綱では、結局15年ではなく13年になりました。それも計算方法には細かな条件がついているので、これまで通りの方式で3年間延長されるわけではないので、その仕組みについて整理しておきましょう。




●19年10月から21年12月までに10%で買った人
 このローン減税の拡充の対象になるのは、床面積50u以上などの一定条件を満たす住宅を買ったり、リフォームした人などで、消費税10%で19年10月から20年12月末までに買った人です。
 この時期に買った人でも、個人間の取引きによる中古住宅であれば、消費税の対象にならないので、拡充策は適用されません。残念ながら、すでに住宅ローン減税の適用を受けている人も今回の拡充の恩恵に浴することはできません。

●買う時期、買う物件によって三つの制度
 つまり、今回の拡充策の実施によって、ローン減税制度には図表1にあるように三つの制度が存在することになります。
 まず、個人間取引で消費税の対象にならない中古住宅などを買った人は、時期にかかわらず10年間の最高控除額が200万円で、これから19年9月末までに消費税8%で買う人は控除期間が10年で、最大400万円、19年10月以降消費税10%で買う人は控除期間が13年になって、最大控除額は13年間で520万円ということです。
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●当初10年間はこれまで通り年末ローン残高の1%
 でも、13年に延長されたからといって、誰でも520万円になるわけではありません。13年間に延長された場合の控除額の計算方法についてみてみましょう。
 控除期間が10年から13年に延長されますが、当初の10年間はこれまで通り、年末ローン残高上限4000万円(長期優良住宅・低炭素住宅の認定住宅は5000万円)までの1%です。年間最大40万円(認定住宅は50万円)、10年間で400万円(認定住宅は500万円)になります。

●11年目から13年目までで増税分を控除
 11年目から13年目は、建物取得額の2%の3分の1が年間の控除額になります。それが3年間続きます。消費税増税相当額の建物価格の2%を、3年間で控除できるようにしようという考え方です。
 たとえば、建物価格が2000万円なら消費税増加分相当額の2%の40万円が3年間に分けて控除されます。年間13万3000円で、3年間で40万円ということです。建物価格が4000万円だと、その2%である80万円の3分の1ですから、年間26万7000円、3年間で80万円ということです。

●年末ローン残高の1%とのどちらか少ない金額
 ただし、従来通りの控除額計算方法の年末ローン残高の1%と比較して、どちらか少ないほうの金額が適用されます。仮にローン残高が2500万円だと、その1%の25万円がローン残高からみた控除額になり、建物取得額が2000万円であれば、建物取得価格から計算した金額は13万3000円です。この場合、少ないほうの13万3000円が実際の控除額になります。
 このケースで、建物価格が4000万円なら建物価格からみた年間控除額は26万7000円ですが、ローン残高からみた控除額は25万円ですから、少ないほうの25万円が控除額になるわけです。




●都心の高額マンションなどなら13年間で520万円
 11年目から13年目も最大控除額は年間40万円になるのですが、11年目以降も40万円になるためには、建物価格が6000万円以上で、当初の借入額が6000万円以上あることなどが条件。この条件を満たす人なら、11年目から13年目の控除額も40万円で、13年間の合計額が520万円になります。
 建物価格が6000万円というのは、新築マンションなら都心部などのかなり豪華なマンションで、土地・建物価格にすれば1億数千万円以上の億ションでしょう。
 注文住宅であれば本体価格6000万円以上でいいわけですが、本体価格6000万円といえば、総合住宅展示場などに出展している豪華な建物に近い物件ということになります。

●消費増税分と同じだけローン減税額が増える
 実際に、住宅ローンの借入額の減税額を試算してみました。図表2の❶が現行の控除期間10年間のローン減税額で、❷が控除期間が13年に延長された場合です。
 便宜的に建物価格はローン借入額の半分として計算したところ、消費増税による負担増加分とほぼ同じ金額だけローン減税額が増えることがよく分かります。
 たとえば、借入額6000万円で、建物価格が3000万円とすれば、消費増税による負担増加分は建物価格の2%ですから60万円です。それに対してローン減税額は現行では400万円ですが、13年間に延長されると460万円になって、ちょうど60万円増える計算です。消費増税で負担が増える分だけ、控除額も多くなるという仕組みです。
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●すまい給付金は最高50万円に増える
 つまり、ローン減税だけを考えれば、消費増税前に買っても、増税後に買っても負担額は変わらないということですが、そのほかの要素もある点に注意しておきましょう。ローン減税だけで損得を判断しては間違うことになります。
 まず、消費増税後には「すまい給付金」が拡充されます。消費税が8%に引き上げられたときに創設された制度ですが、10%引上げ時には現行の最高30万円が50万円になることが決まっています。

●19年度からは「次世代住宅ポイント制度」
 また、19年度からは「次世代住宅ポイント制度」が新たにスタートする見込みです。18年12月17日の大臣折衝では、昨日の本欄でお伝えしたように、1戸当たり35万円になりました。そこまで合わせて考えると、増税後のほうが有利になるかもしれません。
 年収などの条件にもよりますが、すまい給付金で50万円、住宅ポイントで35万円、最高85万円分の給付が期待できます。ローン減税で増税分をカバーできれば、この給付額分だけトクできる計算です。




●その他の変化要因にも十分な目配りが欠かせない
 さらに、消費増税によって景気が後退し、住宅市場も停滞すると、住宅価格が安くなる可能性もあり得ます。5000万円の住宅が4500万円、4000万円に下がれば、消費税の損得計算は吹き飛んでしまいます。増税後のほうが圧倒的に有利になるわけです。
 いまひとつ住宅ローン金利も重要なファクターです。仮に価格が1割下がっても、金利が1%上がれば元の木阿弥ですし、2%も上がったらたいへんなことです。

●自分たちにとっての最高のタイミングを見極める
 そう考えると、目先の損得計算ばかり考えて買い時を判断するのはどうかということになってきます。
 自分たちの生活設計、現在の家計状況、自己資金の準備状況などを十分にチェックして、問題なく買える環境にあって、買いたい、住みたいと思う物件が見つかったときが、その人にとっては最高の買い時なのではないでしょうか。
 もちろんそのときが、消費税、市場動向、金利などの面でも恵まれた状態であれば、いうことはありません。




posted by ky at 09:27| Comment(0) | 住宅取得支援策
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