2016年10月27日

住宅トラブルの電話相談は前年度比9.8%の増加!

 住宅リフォーム・紛争処理支援センターは、住宅トラブルなどに関する電話相談、専門相談などを実施、それを毎年『住宅相談と紛争処理の状況』としてまとめています。その2016年度版によると、電話相談は年率9.8%の増加で、専門家相談もハイレベルで推移しているようです。

●一級建築士などが電話相談に対応
 公益財団法人の住宅リフォーム・紛争処理支援センターは、2000年度から住宅の取得やリフォームに関して、「住まいるダイヤル」として、トラブルや不安を抱える消費者からの電話相談に対応しています。「住宅の品質確保の促進等に関する法律」などに基づいて住宅紛争の処理、適正な解決を図るための活動を行っているのです。
 具体的には、一級建築士の資格を持ち、住宅に関する幅広い知識を持った相談員が担当しており、その認知度も高まり、毎年のように相談件数が増加しています。
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●新築住宅に関する相談は二桁の増加
 2015年度は新築住宅に関する相談が1万8786件、リフォームに関する相談が9852件で、合計2万8638件でした。全体では前年度比9.8%の増加で、新築住宅だけに限ると11.6%増えています。
 これは、トラブルが増えたというよりは、「住まいるダイヤル」が広く知られるようになってきたことを反映しているのではないでしょうか。
★住まいるダイヤル 0570-016-100
電話受付10:00〜17:00(土、日、祝休日、年末年始を除く)

●消費者だけではなく事業者からの相談も
 この「住まいるダイヤル」の相談者をみると83%は消費者からですが、ほかに消費生活センターや地方公共団体が7%、事業者が7%を占めています。
 全国の自治体の消費生活センターなどでも住宅関係の相談に対応していますが、必ずしも住宅関連の知識や経験を積んだ担当者がいるわけではないので、一級建築士などの専任担当者がいる「住まいるダイヤル」が何かと頼りにされるようです。

●新築住宅の不具合のトップは「ひび割れ」
 では、新築住宅の相談においてはどんな不具合が多いのでしょうか。
 一戸建てでは、トップは外壁、基礎などの「ひび割れ」の19%でした。次いで、屋根や外壁などの「雨漏り」で、以下外壁、屋根の「はがれ」、住宅設備機器の「性能不足」などが続いています。
 マンションでもやはりトップは内壁、外壁の「ひび割れ」の12%ですが、同じ12%で外壁、床の「はがれ」が並んでいます。以下は、設備機器、基礎の「性能不足」、給排水管の「漏水」、屋根、外壁の「雨漏り」となっています。
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●半数の人は「修補」を求めている
 では、こうしたトラブル部位に関して、消費者はどんな解決方法を期待しているのかをみると、最も多いのが「修補」の51%でした。2位は「損害賠償」の12%、3位が「修補と損害賠償」の10%などなっていて、「契約解消」という強硬な手段を求める人も9%います。
 軽微なトラブルであれば大半は「修補」ですむのでしょうが、深刻なトラブルだと解約騒ぎにまで発展する可能性もないとはいえません。

●弁護士などの専門家相談も高水準で推移
 住宅リフォーム・紛争処理支援センターでは、2010年度から弁護士、建築士など面談による「専門家相談」を実施しています。利用できるのは、住宅性能表示制度の評価書を取得している人、また住宅瑕疵担保責任保険制度の保険付き住宅を買った人が対象ですが、2016年度の相談件数は1848件で、前年度の1806件から若干増えて、高水準で推移しています。
 無料で相談できるので、万一のことを考えるとやはり住宅取得に当たっては住宅性能表示や、保険付きの住宅にしておくのが安心です。










posted by ky at 09:06| Comment(0) | 住宅

2015年11月21日

国土交通省が『災害に備えるマンホールトイレシンポジウム』

 11月19日、東京都江東区青海の日本科学未来館で、国土交通省主催の『災害に備えるマンホールトイレシンポジウム』が開催されました。最近は、大規模なマンションを中心にマンホールトイレを設置する物件も増えているので、どんなイベントなのか少しばかり拝見してきました。

●あらかじめ用意したマンホールにトイレを設置
 大震災などの災害時には、水道が止まりますからまず家庭の水洗トイレは使用できません。仮設トイレなどもすぐに汚物で満杯になってしまいます。
 それに対して、マンホールトイレというのは、あらかじめ直径20pほどの下水道に直結したマンホールを用意しておき、災害時にその蓋を開けて便器や建屋を設置して、トイレとして使用できるようにするものです。
 仮設トイレなどのように汚物がたまることもなく、安全で清潔に使用できます。
                                                       ◆マンホールトイレ
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●設置のためのガイドライン案の周知徹底が狙い
 国土交通省では、このマンホールトイレの普及を進め、万一のときの実効性を高めるための『マンホールトイレ整備・運用のためのガイドライン(案)』を作成しました。
 その内容を公表し、一定期間パブリックコメントを募集、その後に正式に策定したい意向です。その周知徹底のために同省水管理・国土保全局下水道部が主催、特定非営利法人日本トイレ研究所が事務局となって、今回のシンポジウムが開催されました。
                                      ◆マンホールトイレの仕組み
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●シンポジウム会場のホールは満員に近い盛況
 シンポジウム開催場所は、日本未来科学館7階の「未来ホール」。座席数は200ほどだったと思いますが、ほぼ8割方埋まる盛況ぶりでした。自治体や工事業者などの関係者が中心でしょうか。
 何しろ、マンションのモデルルームなどでトイレに多少の関心はあるものの、マンホールトイレ業界(?)にはうといので、正直よく分かりません。
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●被災地での体験から識者のパネルディスカッションまで
 シンポジウムは三部構成で、一部では宮城県東松島市の担当者による震災時のマンホールトイレ活用例、目黒星美学園中学高等学校の泉百合子教諭による女子視点でのマンホールトイレの提案。休憩を挟んだ二部では、防衛医科大学校の秋富慎司講師による講演、そして三部が国土交通省によるガイドライン案の発表とそれに続くパネルディスカッションという流れです。
 ディスカッションには、それぞれの発表者に国土交通省の担当者が加わり、会場からの意見も聞きながら盛り上がり、午後1時に始まったシンポジウムは午後5時前に終了しました。

●なぜ、いまマンホールトイレなのか?
 このマンホールトイレ、最近は大規模なマンションや建売住宅でも中庭などの敷地内に設置されるようになりつつあります。法律などで義務化されているわけではありませんが、分譲会社としては、防災への取り組みをアピールすることで、差別化を図ろうとする狙いもあります。
 もちろん、それだけではなく、現実の大震災時などにはたいへん重要な役割を果たします。阪神・淡路大震災時にはトイレ不足から、体調を崩す人が少なくありませんでした。簡易トイレが設置されても、すぐに満杯になり、衛生上の問題も出てきます。

●震災関連死者数を減らすために不可欠
 それに対して、シンポジウムでの東松島市の例にみられるようにマンホールトイレがたいへん有効であることが実証されています。
 しかし、残念ながらそれはまだまだごく一部のことで、避難所などではトイレが不足し、トイレの回数を減らそうと水分や食事を控えることで体調を悪化させるケースが後を絶たなかったそうです。
 東日本大震災では、2015年3月末時点で3331人の震災関連死者が出ています。マンホールトイレがあれば、そのうちある程度の人を救えたかもしれません。

●まずはとにかくトイレの数を増やすのが先決
 そのため、国土交通省が公表した『マンホールトイレ整備・運用のためのガイドライン(案)』でも、まずは自治体などの取り組みによってマンホールトイレを増やすことが先決として、教育施設、公共施設を中心に設置を求めています。
 たとえば、グラウンドと体育館で5600人収容する施設であれば、下にあるようにマンホールトイレを7基設置、プールの水や雨水、下水再生水などを活用できるようにしておく必要があります。

●スムーズに活用するためのソフト面も課題に
 さらに、男女の別や夜間の照明の設置、高齢者・障害者などの災害弱者といわれる人たちも利用しやすい施設の設置なども欠かせません。
 さらに、防災の日などに、年に1回程度は訓練を実施、マンホールトイレをスムーズに設置できるようにしておく、設置後は清掃当番などを決めて常に清潔に保つ方法についてもあらかじめ対応を決めておく――などのソフト面での対応も大切です。
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                      ※クリックで拡大できます。
●11月19日はユニセフの「世界トイレの日」 
 ちなみに、なぜ11月19日かといえば、2013年、ユニセフがこの日を「世界トイレの日」と定めました。清潔なトイレがないことによって伝染病、感染症などで命を落とす小さな生命を少しでも減らそうという狙いといわれています。
 また、東京都は語呂合わせから、この日を「いい備蓄の日」と定めています。災害に備える備蓄を進め、マンホールトイレも防災用品として備蓄に加えてほしいということのようです。
 今後、大規模マンションを見学するとき、このマンホールトイレについても、もう少しキチンと見ておこう――改めてそう考えさせられたイベントでした。

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posted by ky at 11:08| Comment(0) | 住宅

2015年09月30日

国土交通省が自治体の耐震改修促進計画の策定状況を調査

 地震大国日本では、建築物の耐震化の徹底は急務の課題です。特に、近頃は各地で火山の爆発が起こるなど、不安な兆候が少なくないだけにいっそう気になります。
 国土交通省では耐震化がどの程度進捗しているのか、全国の地方公共団体の耐震化促進計画の有無や補助制度の整備状況などの調査を行っていますが、まだまだ万全の体制でないことが浮き彫りになっています。

●新耐震基準なら震度7クラスでも安心感が強い
 周知のように、建築基準法における現在の耐震基準は1981年に施行されたものです。ですから、1981年以降に建築基準法に基づいて建てられた建築物であれば、まずは安心できます。
 事実、阪神・淡路大震災における被害状況をみると、1981年以前建築の建物では、被害が「軽微・無被害」の割合は3割強にとどまり、残りは「中・小破」「大破以上」でした。それに対して、1982年以降の建築物では、逆に「中・小破」「大破以上」は3割弱にとどまり、残りの7割強は「軽微・無被害」だったのです。

●「耐震性なし」の住宅がまだ900万戸も
 にもかかわらず、耐震性のない住宅がまだまだ多数残っています。2013年現在、1981年以前に建築された住宅で、耐震性の不足している住宅が900万戸あるそうです。学校、病院などの多数の人が集まる建築物でも6万棟で耐震性が不足しています。
 国としては、2020年までに多数の人が集まる建築物の耐震不足を2万棟に、耐震不足の住宅を250万戸まで削減する計画です。

                  ◆耐震診断・改修に対する補助制度の整備状況
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                (資料:国土交通省ホームページ) ※クリックすると拡大できます。

●耐震化促進計画のない自治体が3.6%
 そのためには、国や地方公共団体が明確な計画を立てて、着実に耐震化を推進する必要があります。
 現在では耐震化推進の実務は国から地方公共団体に移管されていて、全国1741団体のうち1678団体が何らの形で促進計画を持ち、各種の補助金制度などを実施しています。しかし、逆にいえば、残りの63団体、3.6%の市町村では未整備ということになります。

●補助金制度のない自治体が少なくない現実
 耐震化を促進するために最も有効な方法は各種の補助金制度です。特に、古い建物に住んでいる人たちの高齢化が進んでいますから、自力で耐震診断や耐震改修を行うのは難しい面があります。
 そのため、多くの自治体が補助金制度を実施していますが、まだ制度のないところも少なくありません。下の一覧表にあるように、耐震診断の補助金については実施率が85.3%で、耐震改修の補助金が80.3%です。改修のための補助金制度のない自治体が2割近くも残っているわけで、早急な改善が望まれます。

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posted by ky at 08:33| Comment(0) | 住宅