2019年11月01日

来年度予算への要望はZEHの運用改善が最大の眼目に――住団連の取組み

 住宅生産団体連合会では、年末の税制大綱、予算編成に向けて住宅業界の要望を取り上げてもらうべく、国会議員などへのロビー活動に力を入れています。来年度に向けての要望は大きく次の3点としています。

●20年度の税制改正は期限切れの延長が眼目に
 住団連としては、2019年度の税制や予算において、ほぼ業界の要望通りに消費税対策の住宅取得支援策が実現されたことを評価、20年度については目玉となるような新たな施策の要望はなく、原則的に19年度で期限切れとなる制度の継続に力を注いでいます。これが、第1のポイントです。
 固定資産税、登録免許税、不動産取得税などの特例措置の2年間の延長を求めるもので、住団連によると、「特例の廃止によって景気を減速させてはならないと、ほぼ納得をいただいています」としており、例年通り期間延長が実施されることになりそうです。

●着工が回復しなければ追加対策の要望も
 第2には、消費税増税対応の住宅取得支援策が実施されていますが、いまのところ当初の期待ほどの成果は挙げられていないのが現実のようです。今後もこうした厳しい状態が続いた場合、景気に悪い影響を与えかねないため、新たな対策を要望する予定です。
「来年度予算では間に合わない可能性もあるので、補正予算を組んで、できるだけ早く着手してもらう必要があります」
 としています。ただ、いまところどのような対策が可能なのか、具体的な手法については明確な方針が固まっていないようです。

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●ZEHの補助金の柔軟な制度設計の見直しを
 いまひとつの柱が、ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)の補助金に関する運用の見直しの要望です。
 周知のように、ZEHの補助金は図表にあるように環境省、経済産業省、国土交通省の3階建ての複雑な仕組みになっています。しかも、補助金の申請期間が限られ、その後の審査を経て着工、引渡しまでの期間が極めて短くなっています。現実的には7月から9月に着工する住宅でないと対象にならないのが現実です。

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●弾力的な制度運用でZEHが大幅に増加?
 住団連の調査でも、このスケジュール的な制約が足かせになっていることが明らかになっています。ZEHの補助金を申請するためには、着工、引渡しなどのスケジュールが大きく変わるために、ZEHにすることを見送ったとするケースが3割を超えています。
 金額的には100万円を超える大きな補助金であり、消費者にとってのメリットは大きいはずですから、制度が弾力的に運用されれば、ZEHにすることのインセンティブが明確になって、ZEH仕様の住宅が増えるはずです。
 ぜひともより利用しやすい仕組みへの改善を図っていただきたいものです。

posted by ky at 08:50| 住宅税制

2019年08月30日

国土交通省の住宅関連の税制改正要望は大半が期限切れ制度の延長要望に

 2019年8月28日、2020年度の税制改正要望が公表されました。国土交通省関連の住宅関連でも、多くの要望が挙がっていますが、特に目新しいものはなく、ほとんどが今年度で期限切れとなる時限措置の延長要望となっています。これまでの実績からみれば、基本的にほとんどが認められるでしょう。その内容をみると――。

●国土交通省の2020年度税制改正要望の3本柱
 国土交通省は、2020年度の税制改正要望の柱として、次の3点を挙げています。
@豊かな暮らしの実現と地域の活性化
A成長力・国際競争力の強化
B安心・安全な社会の実現
 このうち、@に関しては、住宅の質の向上や無理のない負担で住宅を確保するための、各種の税制の軽減措置の延長などが盛り込まれ、Aにおいては不動産市場の活性化への税制面での支援、Bでは耐震対策などへの支援が取り上げられています。以下、詳しくしてみてみましょう。

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●住宅取得時の固定資産税負担が半分になる
 住まいの質の向上、無理のない負担での住宅の確保のため、次のような要望が盛り込まれています。
1.新築住宅に係わる固定資産税の減額措置(戸建て3年間、マンション5年間を2分の1に)の2年間延長
 国土交通省の試算によると、これによって、図表にあるように、固定資産税評価額で2000万円の住宅を取得した場合、1年間の固定資産税が本来18.2万円のところが、本特例によって9.1万円になります。2年目以降も減って、3年間合計では約26万円の減額になるそうです。

●取得時の保存登記等の登録免許税も軽減
2.住宅用家屋の所有権の保存登記等に係わる登録免許税の特例措置の2年間延長(保存登記:本則0.4%→0.15%、移転登記:本則2%→0.3%、抵当権設定登記:本則0.4%→0.1%
 やはり、2000万円の住宅を取得した場合、保存登記の登録免許税が本則4万円から1.5万円に、移転登記が26万円から3.9万円に、そして1500万円を借り入れたときの抵当権設定登記の登録免許税は本則6万円から1.5万円に減額されます。合計36万円が6.9万円に減額ですから、大きなメリットがあります。

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●長期優良住宅の税制上の優遇策を継続
3.認定長期優良住宅の普及促進を目的とした以下の特例措置の2年間延長
 登録免許税:所有権保存登記 一般住宅0.15%→0.1%
       所有権移転登記 一般住宅0.3%→一戸建て0.2%、マンション0.1%
 不動産取得税:課税標準からの控除額の特例 一般住宅1200万円→1300万円
 固定資産税:新築住宅特例(2分の1に)の適用期間の延長
       一戸建て住宅3年→5年 マンション5年→7年

●自宅の買換えや売却時の優遇策も延長へ
4.居住用財産の買換え等に係わる特例措置(譲渡益に係わる課税繰延べ、譲渡損にかかわる損益通算および繰越控除)の2年間延長
5.個人が宅地建物取引業者により一定の質の向上を図るための特定の増改築等が行われた既存住宅を取得した場合の登録免許税の特例措置(所有権移転登記:一般住宅0.3%→0.1%)の2年間延長

●リフォーム工事を行ったときの固定資産税減額
6.住宅ストックの性能向上を図るため、以下の住宅リフォームをした場合の固定資産税の減額措置の2年間延長
  耐震改修:工事の翌年度1/2減額
  バリアフリー改修:工事の翌年度1/3減額
  長期優良住宅化改修:耐震改修または省エネ改修を行った住宅が認定長期優良住宅に該当することとなった場合、工事の翌年度2/3減額

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●請負契約や売買契約の印紙税の軽減も継続
 このほか、不動産業界の成長力・国際競争力の強化のため、10年超の土地等を譲渡して、新たに事業用資産を取得した場合に、譲渡資産の譲渡益の課税の繰延べを3年間延長し、不動産の流動化を促進します。
 また、図表にあるように、建築請負契約、不動産譲渡契約書に関する印紙税の特例措置の軽減も2年間の延長を盛り込んでいます。たとえば、1000万円超5000万円未満の売買契約は本則2万円が1万円に、5000万円超1億円以下が本則6万円が3万円になります。



posted by ky at 08:56| 住宅税制

2019年06月16日

住団連が住宅の消費税廃止、「住宅税」創設で抜本的な税制改革を提言

 住宅生産団体連合会(住団連)では、かねてより住宅は社会資本であり、消費財ではないので消費税の対象からはずすべき、それが難しいなら軽減税率を適用すべきと主張してきました。しかし、その主張は取り入れられず、2019年10月からの消費税引上げにおいても10%の税率の対象になっています。そのため、住団連では消費税10%以降に向けて、「住宅税制の抜本的改正に向けた検討委員会」を立ち上げ、このほど中間とりまとめを発表しました。

●住宅に関しては消費者が過重な税負担を強いられている
 住団連としては、まず住宅に関しては国民が過重な税負担を強いられているとしています。図表にあるように、取得時には印紙税、登録免許税、不動産取得税がかかる上に、別途消費税が大きくのしかかってきます。取得時の負担が重く、これが特に若い世代の取得を難しくしているとしていうわけです。
 しかも、保有時には固定資産税、都市計画税が課税され、さらに売却時に利益が出た場合には譲渡所得税の対象になります。こんなに多様な場面で税金がかかる国は極めて珍しいのではないでしょうか。
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●先進国のほとんどは消費税対象外か軽減税率
 それに対して、先進国のほとんどでは、住宅は消費税の対象外か軽減税率の対象になっています。消費税がかかるのは日本だけといっても過言ではないそうです。
 この点に関しても、改めて主要国の住宅税制の調査を行っています。その結果は、『G7各国との住宅税制比較調査の報告』として公表しています。全158Pに及ぶ力作で、住団連のホームページから閲覧することができます。
★住団連『G7各国との住宅税制比較調査の報告』
https://www.judanren.or.jp/activity/committee/pdf/tax-system_comparison_G7_20190607.pdf

●住宅消費税は住宅市場や社会・経済に大きな影響
 また、住宅に関する消費税には住宅市場などに悪影響をもたらす課題が山積している点も指摘しています。
 14年の消費税5%から8%への引上げ時には大幅な駆込み需要とその後の反動減が発生し、内需の柱である住宅市場に大きな影響を与えました。消費増税は今後の住宅需要の低下をもたらし、良質なストックの形成を目指すとする国策にブレーキをかけることなります。さらに、所得が低い若い世代の住宅取得の先送りにつながり、子育て世帯の増加にも弊害となる――などとしています。

●住宅を消費税からはずす抜本的な改革が必要
 住宅は、社会を形成する人々の生活基盤であり、社会資産です。住宅取得は消費ではありませんから、消費税には本来なじまないものであり、消費税の対象からはずして、抜本的な改革を行う必要があるとしています。長寿化・少子化社会に対応して、適切な税負担を確立、国民が安心して住宅を購入できる環境を整える必要があるというわけです。
 具体的には、購入時に一括払いすることで購入者の税負担が重くなる消費税からはずし、住宅の所有者が年度ごとに負担する「住宅税」の創設を提唱しています。

img003.jpg長期に所有する期間に応じて税金を負担
 この「住宅税」創設によって、消費税はゼロとして、購入時の負担を軽減、まだ年収の低い人たちも購入しやすくします。
その一方、所有者は建物の取得価格を想定耐用年数に応じて税金を負担する仕組みとしてます。これが「住宅税」です。取得価格4000万円(うち建物が2000万円)の長期優良住宅であれば、消費税8%なら、2000万円×0.08の160万円を50年間に分けて負担します。年間では3.2万円になって、さほど無理のない負担ですみます。

●総額の税負担は変わらないので税収も確保
 この「住宅税」に移行すれば、若い世代も購入しやすくなり、国や自治体の税収にもさほど大きな影響は出ません。取得時に一括して支払う形から、分割で年払いする形に代わるだけで、税収の総額には変化はないわげです。
 ただ、これから取得した場合にのみ「住宅税」がかかるのでは世代間の負担格差が生じるので、報告書では、すでに所有している資産の税負担も応分に増やす必要があるとしています。ただ、この点に関しては、所有者からの反対の声が出てくる可能性もあり、実施には困難がともないそうです。

●メーカーや流通業などへの配慮も不可欠に
 とはいえ、最終的に住宅を取得するときに消費税の対象からはずすにしても、その住宅を建てるための部材や流通経費などには消費税がかかっているという問題があります。住宅メーカーなどは仕入れにかかる消費税分を、販売価格に転嫁できなくなるわけで、その仕入れ控除をどうするのかといった問題もあります。
 種々課題はあるものの、消費税から住宅をはずして、新たに「住宅税」を創設することは、住宅税制をG7並みにすることでもあります。遅れている住宅税制を先進国並みにするためにも、この提言が本格的に検討されるようになることを期待したいものですが、さてどうでしょうか。



posted by ky at 09:07| 住宅税制