2019年10月27日

耐震改修促進計画の策定や補助金制度未整備の市区町村が残っている!

 国土交通省では、大規模地震発生時における人的・経済的被害の軽減を図るために、住宅・建築物の耐震化の促進に積極的に取り組んでいます。耐震改修促進計画を立て、補助金制度を実施している市区町村と合わせて国の補助を行い、耐震化率の向上を促進しています。そのためには、市区町村レベルの対応が重要になってくるので、国土交通省では毎年その整備状況に関する調査を行っています。2019年10月25日、その2019年度分の超結果が公表されました。

●新耐震基準以降の建築物は被害が小さくなる
 大規模地震発生時の被害を抑制するためには、住宅を初めとする建築物の耐震化が極めて重要であるのはいうまでもありません。そのため、わが国では大地震のたびに建築基準法が強化され、現在の新耐震基準は1981年(昭和56年)に施行されました。
 図表にある国土交通省の資料によると、阪神・淡路大震災においては、この新耐震基準を満たしているかどうかで、被害状況が大きく異なっていることが明らかになっています。新耐震以前の建築物の3割近くが大破したのに対して、新耐震以降の建築物は1割未満にとどまっているのです。

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●耐震性が不足している住宅が約900万戸
 この新耐震基準では、「数百年に一度の大地震でも倒壊しない」ことが条件になっています。阪神・淡路大震災ではそれがある程度実証されたといってもいいでしょう。
 そのため、この新耐震基準以前の建築物の耐震強化が喫緊の課題となってきます。
 図表にもあるように、13年段階で、わが国の住宅の総戸数約5200万戸に対して、耐震性がある住宅は約4300万戸で、残りの約900万戸が耐震不足とされているのです。

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●25年までに耐震性不足の住宅をゼロにする
 年々、その耐震性のない住宅は減少していますが、それでも、これをさらに減らして、早急にゼロにしなければなりません。
 国としても、2025年までに耐震性のない住宅ストックを概ねゼロにするために、積極的な取組みを行っているところであり、そのために、国と地方公共団体が一体となって、耐震改修の促進に取り組んでいるわけです。

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●一部にまだ計画がない市区町村がある
 その前提になるのが、地方公共団体の耐震改修促進計画の策定と補助金制度の確立ですが、図表にあるように、まず47都道府県のすべてにおいて、耐震改修促進計画が策定されていることが分かりました。
 ただし、市区町村になると、1741市区町村のうち、19年4月1日現在で計画が策定されている市区町村は1703で、全体の97.8%という結果でした。100%に近い数字とはいえ、まだ策定されていないところがあります。21年度までには100%に達する見込みですが、大地震はいつやってくるか分からないだけに、早急な対応が不可欠でしょう。

●耐震診断の補助金制度は9割近くに
 計画だけではなく、それに対応した補助金制度の確立も重要です。それが、耐震診断、耐震改修実施への大きなインセンティブになるはずです。
 その点に関しては、図表にあるように耐震診断の補助金制度がある市区町村は全体の87.9%という結果でした。市区町村の補助金制度がないと、国の補助金も利用できないだけに、実施していない市区町村の早期の対応が求められます。

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●共同住宅への補助金制度は5割以下に
 なかでも、実施率が低いのがマンションなどの共同住宅。一戸建て住宅への補助金制度を実施している市区町村が86.5%に達しているに対して、共同住宅は41.9%と半数にも達していないのです。
 マンションやアパートなどは多数の世帯が入居しているだけに、被害が出ると一戸建ての比ではありません。マンションなどの鉄筋コンクリート造の住宅は木造よりも地震に強いといわれているものの、安心はできません。

●耐震改修も共同住宅での実施率は4割以下
 一方、耐震改修への補助金に関しては、88.8%の市区町村が実施しています。前年調査では87.0%でしたから、ジワジワとですが着実に制度が広がっています。
 ただし、ここでも一戸建てが87.8%に達しているのに対して、共同住宅は36.5%と4割にも満たない実施率です。マンションの耐震改修には高額な費用がかかり、補助金も大きくならざるを得ず、財政難が深刻化するなら、なかなか実施できないところが多いようです。
 しかし、住民の生命・財産を守るためにはぜひとも必要な制度です。未実施の市区町村の早急な体制整備が求められます。



posted by ky at 07:17| 地価

2019年09月24日

地方の商業地が28年ぶりに上昇に転じる――2019年『都道府県地価調査』

 2019年9月19日、国土交通省から2019年度の『都道府県地価調査』(基準地価)が発表されました。都道府県知事が土地取引規制審査や地方公共団体による買収価格の算定の規準として、適正な地価形成を促進するために実施、それを国土交通省が全国の結果をまとめて公表する仕組みです。毎年7月1日時点の標準価格を判定した調査であり、1月1日時点の地価を調査した『公示地価』ともに、公的な地価指標として重視されています。

●商業地は5年連続上昇、住宅地はほぼ横ばい
 この『都道府県地価調査』、2019年の用途別・地域別の対前年比の変動率は図表1にある通りです。最大のポイントは、全国の全用途平均が前年比で0.4%の上昇で、これで2年連続の上昇となり、調査をまとめた国土交通省では、「上昇基調を強めている」と評価しています。
 全国平均の住宅地はまだ−0.1%と水面下にありますが、もう水面はそこに見えており、横ばい水準に近づいています。順調に推移すれば、来年あたり、住宅地も水面上に顔を出すかもしれません。

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●地方商業地の上昇はバブル末期以来のこと
 それに対して、商業地は全国平均で1.7%の上昇で、これで3年連続して上がっていることになります。全国的には、この商業地の地価上昇が、住宅地の若干のマイナスを補って、全用途平均を押し上げているといっていいでしょう。
 三大都市圏の商業地は5.2%の上昇ですが、札幌市、仙台市、広島市、福岡市の地方四市は実に10.3%の上昇です。四市以外のその他の地方圏はまだ若干のマイナスなのですが、この四市の押し上げ効果によって、地方圏の商業地は0.3%と、実に28年ぶりにプラスに転じました。バブル末期以来のことです。
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●東京都の住宅地は今年で7年連続の上昇を継続
 そのなかで、東京圏の住宅地の地価動向をみると、2019年は1.1%の上昇でした。過去5年続けての上昇ですが、アップ率は2018年に1.0%と1%台に乗せ、今年もそれを維持して着実に上がっています。
 首都圏の一都三県別にみると、最も上昇率が高かったのは、東京都の2.5%で、2018年で7年連続のアップが続いています。2018年に2.4%の上昇と2%台に乗せ、これで2年続けて2%台の上昇ということになります。
 次いで埼玉県が0.7%、千葉県は0.3%の上昇でしたが、神奈川県は0.1%の上昇とアップ率が低く、ほぼ横ばいといっていい水準にとどまりました。

●この地価上昇はこれからも続くのか?
 これからマイホームの取得を考えている人は、物件価格に大きな影響を与える地価が、今後、どうなるのか気になるところでしょう。
 この『都道府県地価調査』発表に合わせて、主な不動産会社のトップがコメントを発表しています。
そのうち、わが国を代表する不動産会社のひとつである三菱地所の執行役社長・吉田淳一氏はこうコメントしています。

●不動産会社のトップも強気のコメント
「令和元年(2019年)の都道府県地価調査は、全国全用途平均が2年連続で上昇したほか、地方圏の商業地が28年ぶりの上昇に転じた。良好な資金調達環境のもと、景気回復や所得環境の改善が続いており、堅調な住宅需要やオフィス市場の活況はもとより、外国人観光客の増加などを背景に需要が拡大、全国的な地価回復および上昇を堅持している」
 他の不動産会社トップのコメントを見ても、ほぼ同じような評価になっています。
 それぐらい、わが国の地価は堅実な動きを示しているということですから、これからマイホームの取得を考えている人は、さらに一段の地価上昇の前に取得を実行するのが得策かもしれません。



posted by ky at 09:10| 地価

2019年09月17日

大和ハウス工業が「基準地価発表」に向けて報道機関へのレクチャー会開催

 例年9月半ばから下旬にかけて「都道府県地価(基準地価)」が公表され、地価動向の指標とされています。大和ハウス工業ではそれに先立って、最近の地価動向、住宅開発動向などについて同社としての捉え方について、2019年9月13日、東京・飯田橋の東京本社で、報道関係者向けのレクチャー会を開催しました。

●分譲マンションの土地取得価格は上昇傾向
 2019年9月13日に大和ハウス工業の東京本社で開催されたレクチャー会では、大和ハウス工業の事業セグメントに応じて、分譲マンション、分譲住宅(一戸建て)、物流施設、ホテルの4分野別に説明が行われましたが、ここでは分譲マンション、分譲住宅を中心にみていきます。
 まず、分譲マンションについては、首都圏の供給物件は相変わらず高額傾向にあり、なかでも都心5区については平均坪単価が500万円程度で推移、エリアによっては1000万円近いところもあるとしています。

●大手4社の寡占状態が強まっている
 都心を中心に、三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス、住友不動産、野村不動産の大手4社の寡占化が急速に進んでいることを強調していました。
 入札にも変化が出ているようです。人気エリアの土地が出た場合には、これまでは10社以上が入札に参加、中堅どころなどが極端な高い入札を行うことが多かったのですが、最近ではそうした企業が淘汰され、入札参加社数も減少、突出した入札価格は減って、比較的無難な価格での入札が増えているそうです。消費者からすれば、これは歓迎すべき傾向でしょう。
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●坪300万円台の大規模物件の人気が高い
 そうしたなか、首都圏では坪単価300万円台の大規模開発物件の人気が高まっています。『晴海フラッグ』がその代表格で、今後も『ブランズタワー豊洲』などが続く予定です。
 また近畿圏は、上昇傾向が続いています。大和ハウス工業でも、『プレミスト梅田』が分譲中で、平均坪単価373万円ながら、大阪のアッパー層に高い支持を受けています。また、『プレミスト大阪上本町』も坪単価305万円で分譲は順調に推移しているそうです。
 ただ、一時期好調だった札幌市、仙台市、広島市、福岡市の地方四市の勢いはやや衰えており、弱含みになっているとしています。

●分譲一戸建ては前年比での減少傾向続く
 一方、分譲一戸建てについては、19年3月までの消費税8%の経過措置期限に向けての駆込み需要はほとんどなかったとしています。14年の8%への引上げ時には大幅な駆込みが発生し、増税後にはそれ以上の反動減に苦しみましたが、今回は、そうしたリスクは小さいだろうとしています。
 いうまでもなく、増税に対応した手厚い住宅取得支援策が功を奏しており、駆込みメリットが希薄になっているためといわれています。

●年間の建売住宅2000戸から3000戸に
 ただ、問題は10月以降、増税が実施されたときに、住宅取得支援策によって市場が活気づくがどうかですが、その点に関してはやや不透明な観があるようです。
 大和ハウス工業の分譲住宅事業は、大手のなかでもやや苦戦傾向が目立ち、4月から8月までの受注実績は、棟数では20%ほど、金額では15%ほどのマイナスになっているそうです。
 しかし、それを本格的にテコ入れしていけば、むしろ伸びしろが大きいという考え方もできます。年間の建売住宅の実績は2000戸程度ですが、これを早急に3000戸まで拡大したいとしています。




posted by ky at 08:35| 地価