2019年10月31日

一戸建て市場に暗雲――住団連調査で支援策の効果が上がっていないことが 明らかに

 住宅生産団体連合会(住団連)が2019年10月29日、『経営者の住宅景況感調査(令和元年度第3回)』の結果を公表しました。住宅市場は、長く不振が続いた賃貸住宅には底打ち感が出てきたものの、一戸建てやリフォームに関しては極めて厳しい現状と見通しが明らかになっています。

●総受注戸数の実績は−80ポイントに
 住団連の『経営者の住宅景況感調査(令和元年度第3回)』によると、2019年7月〜9月の実績は、全体で図表にあるように総受注戸数が−80ポイント、総受注金額が−50ポイントという厳しい結果でした。10月〜12月期の見通しに関しても、総受注金額は−55ポイントで、総受注金額で−33ポイントです。
 調査を行った住団連では、「各種の住宅取得支援策によって、消費税増税による駆込み需要は少なく、その反動減も少ないといわれてきましたが、実際には大きな反動減が発生しています」としています。

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●一戸建て注文住宅が大きな落込みに
 なかでも予想外だったのが一戸建て注文住宅です。ローン減税の拡充などの住宅取得支援策が最も効く分野であるはずで、消費税増税による影響を極小化して、平準化を促進する効果が期待されていました。しかし、実際にふたを開けてみると、図表にあるような結果でした。
 7月〜9月期の実績をみると、総受注戸数が−73ポイントで、総受注金額は−58ポイントでした。10月〜12月の見通しをみても、総受注戸数は−46ポイント、総受注金額は−42ポイントとなっています。

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●このままではさらなる対策が必要になる
 19年は8月、9月と週末のたびに台風や大雨に襲われて、住宅展示場の集客数が大幅に減少したことが最大の要因とみられますが、住団連では住宅取得支援策が期待したほどには効果が上がっていない点も要因のひとつに挙げています。住宅自体は、支援策が充実していても、生活関連費用の増税によって家計負担が重くなっている上、景気の先行きについても自信がもてないことなどと相まって、需要に結びついていないのではないかとしています。
 そのため、住団連では、「今後も落込みが続くようだと、景気への影響も大きいので、さらなる対策を取ってほしいと国会などに要請することになるでしょう」としています。

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●賃貸住宅市場にはようやく底打ちの気配
 一方、この数年落込みが続いてきた低層賃貸住宅については、やや落ち着きを取り戻しつつあるようです。
 図表にあるように、7月〜9月の実績では総受注戸数は−25ポイントのマイナスですが、総受注金額は±0になっています。さらに、10月〜12月期の見通しに関しては、総受注戸数が−13ポイント、総受注金額が−8ポイントと、まだまだ水面下ではあるものの、折れ線グラフはこのところ右肩上がりのカーブを描いています。
 落ちるところまで落ちて、ようやく底打ちが見えてきたといってもいいのではないでしょうか。やがて水面上に顔を出すのではないかと期待されます。
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●リフォームの実績は10四半期ぶりのマイナスに
 これまで好調が続いてきたリフォームの先行きも怪しくなっています。7月〜9月期の実績では、受注金額が−41ポイントとなりました。リフォーム実績の受注金額がマイナスになったのは、10四半期、2年半ぶりのことです。
 10月〜12月期の見通しに関しても、受注金額が−18ポイントで、リフォームの見通しがマイナスになるのは、消費税率が8%に引き上げられたとき以来のことです。
 消費税増税に対応して導入された「次世代住宅ポイント」制度では、リフォームにも力が注がれていますが、その成果はさほど挙がっていないようです。
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●向こう6か月の経営指標は「変わらず」が主流に
 住団連の『経営者の住宅景況感調査(令和元年度第3回)』では、向こう6か月の経営指標に関して、経営者に対してアンケートを実施しています。
 その結果は図表にある通りですが、全体的に「増やす」「減らす」より「変わらず」が中心の保守的な結果といっていいでしょう。
「増やす」「減らす」ともにさほど多くないのですが、各項目ともに「増やす」「減らす」の割合は拮抗しています。

●年間新設着工戸数の予想は下方修正
 また、19年度の新設住宅着工戸数に関してもアンケートを行っていますが、今回の調査では最大値が95.3万戸で、最小値が86.3万戸と、上下10万戸近い差が出ました。それだけ予測が難しくなっているということでしょうか。
 平均では91.0万戸です。前回の調査時の平均は92.0万戸でしたから、弱気の下方修正になっています。なかでも、賃貸住宅が1.3万戸の減少と下方修正の主因になっています。国土交通省の『建築着工統計調査』では、8月の着工戸数の年率換算は90万戸を割っているだけに、この程度の下方修正ですむのかどうか、先行きへの不安が強まります。




posted by ky at 09:05| 住宅市場

2019年10月23日

築25年超の中古一戸建ての成約物件の土地面積の平均は175u台に

 東日本不動産流通機構(東日本レインズ)が、2019年9月20日、『首都圏中古マンション・中古戸建住宅地域別・築年帯別成約状況〔2019年7月〜9月〕』を発表しました。前回は中古マンションの動向を取り上げましたが、今回は中古一戸建ての地域別・築年帯別の特徴をみてみましょう。
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●「〜築10年」から「〜築25年」まで万遍なく
 東日本レインズによると、2019年7月〜9月の首都圏における中古一戸建ての成約件数は3240件でした。図表4にあるように、築年数5年刻みの構成をみると、「築30年〜」が726件と突出しているのを除くと、「〜築10年」から「〜築25年」まで400件台の半ばから、500件台で万遍なく分布しています。
 前年同期比でみると、全物件は9.5%の増加で、「〜築30年」が−1.6%と前年割れになった以外は、すべて増加しています。なかでも、「〜築10年」が22.0%と最も多くなっていて、築浅物件の増加が目立っています。

●「築30年〜」は「〜築5年」のほぼ半値に
 19年7月〜9月の中古一戸建ての成約価格の平均は3133万円でした。前年同期比では−1.6%のダウンです。
 築年数別の成約価格の平均をみると、「〜築5年」が4171万円で、「〜築10年」は4052万円と築年数を経るごとに安くなっていき、「築30年〜」は2077万円です。「〜築5年」の築浅物件に比べて、「築30年〜」の築深物件の平均価格は49.8%で、築浅のほぼ半分程度になっているわけです。
 とはいえ、前回取り上げた中古マンションでは、3分の1近くにまでダウンしていましたから、一戸建てのほうがマンションに比べて資産価値を維持しやすいといっていいでしょう。
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●築浅物件は前年同期比で成約価格が上昇
 ただ、築年数が長くなるほど、前年同期比での下落率が大きくなります。「〜築5年」は2.0%、「〜築10年」は6.1%の上昇なのに対して、「〜築25年」は−9.8%、「〜築30年」は−10.1%、「築30年〜」は−10.5%という結果でした。
 これは成約件数において、築浅物件の前年比での増加率が高くなっている点と符号する結果といってもいいかもしれません。多少高くても、まだまだ新築並みの外観、快適性などを維持している築浅物件の人気が高く、それゆえ価格も上がっているということなのではないでしょうか。

●東京都では築深でも資産価値を維持しやすい
 この成約価格、エリア別の違いが大きくなっています。首都圏全体での平均価格は3133万円に対して、東京都は4414万円で、東京23区では5474万円となっています。反対に、最も安い千葉県は1862万円でした。図表5にある通りです。「
 価格の高いエリアほど、築年数による資産価値の低下率が小さくなります。首都圏全体では、先にみたように「〜築5年」に対して「築30年〜」の成約価格は49.7%でしたが、東京都では55.8%で、東京23区だけでみると61.5%となっています。都心に近く、地価の高いエリアほど、経過年数が長くなっても、ある程度の資産価値を維持しやすいということがいえそうです。
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●築25年以上の築深物件なら土地面積が広い
 その背景には、築年数が長いほど土地面積が広いという事情がありそうです。
 図表6にあるように、「〜5年」の築浅の成約物件の平均土地面積は123.9uですが、「〜築10年」になると126.0uに、「〜築15年」だと135.6uと増えていき、「〜築30年」は175.4uで、「築30年〜」は175.2uです。築25年超なら平均175u台と広くなります。
 土地面積の広い、ゆったりとした一戸建てを探すなら、築深の中古一戸建てに目を向けるのがいいかもしれません。



posted by ky at 08:47| 住宅市場

2019年10月12日

19年9月の首都圏中古一戸建ての成約件数は前年同月比15.0%の大幅増加

 2019年10月10日、東日本不動産流通機構が19年9月分の『月例マーケットウォッチ』を発表しました。それによると、首都圏の中古一戸建ての成約件数は前年同月比15.0%の大幅な増加で、成約価格も上昇しています。
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●中古一戸建ての成約件数は2か月連続二桁増
 東日本不動産流通機構が2019年10月10日に発表した、19年9月分の『月例マーケットウォッチ』によると、首都圏中古一戸建ての成約件数は1254件でした。18年9月は1090件だったので、図表1にあるように、前年同月比では15.0%と大幅な伸びを記録しました。8月も前年同月比20.9%の増加だったので、2か月連続の二桁増です。
 19年に入ってからは3月に1350件の成約件数を記録しましたが、9月の1254件はそれに次ぐ多さです。
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●成約価格は3091万円で、3か月ぶりの上昇
 首都圏中古一戸建ての19年9月の成約価格の平均は3091万円で、18年9月の3044万円に対して、前年同月比では1.5%の上昇です。7月、8月と前年同月比ではマイナスだったので、3か月ぶりのアップということになります。図表2にある通りです。
 価格帯でみると、19年1月に2988万円と3000万円を切ったものの、2月には3124万円と3000万円台を回復、その後は着実に3000万円台を維持しています。

●中古一戸建ての土地面積は150u台に
 この中古一戸建て、新築に比べると土地面積が広いのが大きなメリットです。19年9月の成約物件の土地面積の平均は150.95uでした。8月の152.78uに続いて2か月連続の150u台です。
 それに対して、東日本不動産流通機構の調査対象となる新築一戸建ての成約物件の土地面積の平均は19年9月で125.22uです。中古に比べると25.73uも狭くなっています。また、8月は中古が152.78uで、新築は119.32uですからその差は33.46uに広がっていました。比較的広い敷地の一戸建てを手に入れたいなら、新築ではなく中古に目を向けるのが現実的なようです。
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●新築一戸建ての成約件数は9か月連続増加
 東日本不動産流通機構では、仲介会社を通して販売される新築一戸建てについても調査を行っています。
 その19年9月の成約件数は529件でした。図表3でも分かるように、18年9月の444件に対して、前年同月比19.1%の増加です。これで、19年1月以来9か月連続で成約件数が増えていることになります。
 ことに最近は8月の27.5%に続いて、2か月続けての二桁台の増加であり、新築一戸建ての需要が着実に高まっているのではないかとみられます。
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●新築一戸建ての成約価格は3500万円台を維持
 19年9月の首都圏新築一戸建ての成約価格の平均は3559万円でした。18年9月は3510万円でしたから、前年同月比は1.4%の増加です。
 新築一戸建ての成約価格はこのところは3500万円を挟んだ動きで推移しています。19年2月の3400万円台から3月には3500万円台に入ったものの、5月、6月は3400万円台に戻し、7月に3500万円台を回復、その後は9月まで3か月連続の3500万円台になっています。
 成約件数の堅調さを考慮すると、この3500万円台の維持はしばらく続くことになるのではないかともみられますが、今後の動向を注目しておきたいところです。



posted by ky at 09:23| 住宅市場