2019年10月06日

「選ばれるオフィス」目指して東急不動産が新本社で「働き方改革」の実証実験

 2019年8月から営業を開始した東京・渋谷にある東急不動産の新本社ビル「渋谷ソラスタ」。10月からお客を案内するライブオフィスとして始動、お客さまの「働き方改革」をサポートするワークプレイス提案を行えるように、新本社を使っての実証実験をスタートさせました。9月30日、その概要に関する見学会が開催されました。
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●新たな取組みを科学的に測定して見える化
 東急不動産では、このほど建替えが終了して、2019年8月にオープンした東京都渋谷区南平台の新本社「渋谷ソラスタ」で、「コミュニケーションの活性化」「生産性向上」を目的にさまざまな取組みを行っています。
 なかでも、
・IoTを活用したスマートオフィス
・Green Work Style(効果的な緑の導入)
・フィットネスを取り入れた健康経営
 に関して、位置情報分析、コミュニケーション分析、脳波測定、自律神経測定、脈波測定などを実施し、新しいオフィスのあり方、働き方の提案を目指しているそうです。

●執務席数は在籍人数の50%以下に絞る
 まず、IoTを活用したスマートオフィスに関しては、最大で執務席を在籍人数の50%クまでとして、生み出される空間をラウンジなど多様なスペースとして利用します。そこでは、従業員自らが時間や場所を選択しながら働く、グループABW(グループアドレス)を導入します。
 従業員はその日、その日、あるいはテーマなどに応じて自由にスペースを活用するわけですが、スマートオフィスアプリによって、従業員同士の位置情報を即座に確認でき、コミュニケーションなどの問題はありません。
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●オフィスにおける緑の効果を科学的に実証する
 Green Work Style(効果的な緑の導入)に応じて、オフィスの至るところにグリーンが設置されています。それも、つくりものではなく、本物の緑にこだわっています。
 緑の豊かな空間のほうが、ストレスから開放されて、仕事の能率も上がるのではないかというイメージがありますが、それを実証実験によって証明しようとするのが、最大のポイントです。写真にあるように、緑に囲まれた会議室、執務席で実際に仕事をして、脳波を測定することで、緑が働き方に貢献することを証明したいとしています。

●緑豊かな空間のほうがストレスが少ないなどの効果
 東急不動産では、実は本社の建替えの間の移転先だった青山の本社でも、各種の実験を行ってきました。その結果、
・緑のある空間のほうが、快適度が6.5%上昇してストレス度が低くなる
・緑のある空間のほうが、作業集中度が7.3%高まる
・緑のある空間のほうが、興味度が2.6%高まる
 といった成果が出ているそうです。新本社ではそうした結果をさらに追求して精度を高めていこうということのようです。
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●わが国は初の「瞑想ポッド」の設置も
 東急不動産の新本社では、至るところにフィットネス施設が設けられています。仕事の合間に自転車を漕いだり、ヨガなどで軽くエクササイズすることで心身のリフレッシュを図れるようになっています。それが実際にどの程度効果があるのか、社員がウェアラブル心拍センサを装着して自律神経機能を測定することで、効果を可視化します。
 さらに、わが国では初めてといわれる瞑想ポッドを設置します。瞑想した場合と瞑想しない場合、また瞑想ポッドで瞑想した場合と通常の場所で瞑想した場合の違いなども測定して、効果を検証します。

●10月、11月と実験を繰り返して年初に発表
 東急不動産では、こうした実証実験を10月、11月と継続して実施、年末にはその結果を分析、20年の春には報告書として発表できるようにしたいとしています。
 その結果に応じて、より効果が高まるような体制に改めながら、これからのオフィスづくりやオフィス営業などに活かしていきたい考えです。
 果たしてどんな結果でるのか、発表時期が待たれます。

posted by ky at 09:03| オフィス・商業ビル

2019年10月05日

『PLAYatre TSUKUBA』に星野リゾートが新ブランド「BEB」で参入

 JR系の株式会社アトレが、JR常磐線の土浦駅で新たな業態ともいうべき駅ビル、『PLAYatre TSUKUBA』の開発を進めています。「日本最大級のサイクリングリゾート」というのがコンセプトで、それに合わせて星野リゾートが新ブランド「BEB」を掲げて参入するそうです。2019年9月30日、東京都千代田区の丸の内ステーションホテルで発表会が開催されました。
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●駅ビルの売上高は最盛期の6分の1まで落ち込む
『PLAYatre TSUKUBA』は、数奇な運命を経た駅ビルです。もともと1983年に土浦ステーション開発が、「土浦WING」として開発し、08年に閉業後、09年にイオンモールが「ペルチ土浦」として開業、12年にアトレが運営を継承しました。
 アトレ代表取締役社長・一ノ瀬俊郎氏は、この間の事情をこう説明してくれました。
「最盛期には年間112億円あった売上高が20億円まで落込み、沿線の活性化、魅力ある街づくりが不可欠になっていました。そこで、土浦の魅力は何かと考え方とき、日本最長のサイクリングコース『つくば霞ヶ浦りんりんロード』があるじゃないか、これを活かさない手はないということになりました」
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●20年3月に星野リゾートを迎えてグランドオープン
 こうして、「土浦WING」として出発した駅ビルは、駅ビル全体が自転車の持込みを可能とし、メンテナンスや宿泊機能なども備えた国内最大級のサイクリング特化施設『PLAYatre TSUKUBA』に生まれ変わることになったわけです。
 18年3月に、その第1弾として「BIKE BASE」となる「りんりんスクエア土浦」が誕生、レンタサイクル、ロッカー、シャワールームなどが備えられました。続いて19年4月には、レストラン、カフェなどの「STATION LOBBY」が、そして20年3月には、「BOOK TABLE」がオープンし、いよいよ20年3月に「CYCLING HOTEL」である星野リゾートの『BEB土浦』が開業、グランドオープンとなります。
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●魅力度6年連続最下位の不名誉の挽回なるか
 土浦市のある茨城県といえば、民間調査会社の「ブランド総合研究所」の「都道府県別魅力度ランキング」で6年連続最下位という不名誉な記録を更新しています。
 このため、茨城県では18年11月には東京・銀座にあるアンテナショップを全面リニューアルするなど、茨城県のアピールに力を入れています。
 今回の発表会にも、大井川和彦知事が自ら出席しました。
「6年連続最下位から上位に脱出するため、昨年から『宿泊施設立地促進事業』を実施し、最大10億円の補助金を出す制度をスタート、プレミアムホテルや旅館の誘致を図ってきました。それが、ようやく星野リゾートさんの進出につながって、これからに多いに期待しているところです」
 として、発表会では、大井川知事と一ノ瀬社長が壇上に上がり、宿泊施設立地促進事業の認定式も執り行われました。
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●星野リゾート5番目のブランドとしてスタート
 ところで、なぜ星野リゾートなのでしょうか。
星野リゾートといえば、わが国のラグジュアリーリゾートの代表格というイメージばかりが先行していますが、実はそればかりではありません。
 星野リゾート代表の星野佳路氏が説明してくれました。
「当社には、お客のセグメントに応じて、ラグジュアリーリゾートしてとの『星のや』、西洋型リゾートの『リゾナーレ』、全国展開の温泉ブランド『界』、ディープな観光客のための都市ホテル『OMO』があります。そして、このほど仲間とルーズに過ごすホテルを目指す5番目のブランドとして『BEB』をスタートさせることになりました」
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●星野リゾートとして1泊6000円からの破格の料金設定
「BEB」の第1弾は長野県軽井沢町の『BEB軽井沢』で、19年3月オープンの『BEB土浦』はその第2弾になります。全90室の比較的コンパクトなホテルで、1泊当たりの料金は、2名1室利用、食事別、税別で1名当たり6000円からだそうです。
 たしかに、星野リゾートのイメージからすると格段にリーズナブルな価格帯で、利用しやすそうです。
 これは、最近の若い世代の旅に対する考え方の変化に対応したものだそうです。星野の代表はこう語ります。

●「居酒屋以上、旅未満」がコンセプト
「若い人たちは旅行しなくなっています。自宅から数キロ程度の街歩き、それが旅行なんです。日常と旅の間、それがいまの若い人たちの旅行です。今回スタートする新たなブランである『BEB』では、『居酒屋以上、旅未満』をコンセプトとしています」
 つまり、何か月も前から大げさな旅支度をする旅行ではなく、ちょっとした準備だけで、普段の飲み会よりは素敵に、旅よりは気軽に、いつもの仲間と、好きなときに、好きな場所で楽しめる、そんなホテルを目指しているそうです。
 果たして6年連続の最下位からの脱出のキッカケとなるのかどうか、その動向が注目されます。



posted by ky at 09:21| オフィス・商業ビル

2019年09月29日

日鉄興和不動産が9月30日オープンの『WAW日本橋』でシェアオフィス進出

 オフィビルやマンションなどを手がける日鉄興和不動産が、新たに会員制シェアハウスに進出する。9月30日オープンの『WAW日本橋』がその第1弾で、続いて第2弾として『WAW赤坂』が10月下旬にオープンする予定だ。

●幹線道路が交差する日本橋の一等地に立地
「リビオ」「リビオレゾン」「リビオシティ」などのブランドで分譲マンションを供給し、一方では東京都中央区、港区を中心にオフィスビルを展開する日鉄興和不動産。近年は、オフィス需要がたいへん強く、新規ビルもほとんど満室でスタートしているという。
 今回『WAW日本橋』が立地するのも、東京都中央区日本橋の、永代通りと昭和通りの交差点に面した一等地で、旧富士製鐵(現在の日本製鐵)の本社があった場所。2019年3月に竣工したばかりの「日鉄日本橋ビル」の3階に設けられた。
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●働き方改革に対応してシェアオフィスニーズ高まる
 日鉄興和不動産常務取締役賃貸事業本部長・古田克哉氏はこう語っています。
「働き方改革の進行で、今後はシェアオフィスのニーズがますます高まるだろうとみています。今回の第1弾は日本橋ですが、10月下旬には第2弾として、東京都港区赤坂の『アークヒルズタワー』に『WAW赤坂』がオープンする予定で、今後も自社物件を中心に展開していく計画です」
 ちなみに、「アークヒルズタワー」というビル名だと、森ビル所有というイメージが強いですが、数年前に日鉄興和不動産が購入した物件だそうです。

●コンセプトはワクワクする空間
 会員制シェアオフィスの「WAW」という名称にはコンセプトなど、同社が新事業に込められた思いが詰まっています。
「WAW」はWORK AND WONDERの頭文字からとったもので、「ワクワクする気持ち、ワクワクする空間」を意味し、「WA(和、輪=ゼロからつながり、広がりが築ける場所)」という思いも込められています。
 テーマは「OPENNESS」と「WELLNESS」。企業と人、企業同士が垣根なくつながり、健康で健全な心と身体でこそワクワクが生まれるということのようです。

●『WAW日本橋』の8つの特色
 そのため、以下のような特色を持たせています。
1.開放的でシームレスな空間設計
 オープンなプレゼンテーションルーム、スケルトン天井による開放感など
2.見せる個室“Pop-Upオフィス”の設置
 ガラス張りのオフィスを設置。ショールーム、商談スペースとしての活用も
3.それぞれの働き方に合わせて什器を選択できるセレクトプラン
 4人用の個室には、好みに使用にアレンジできる個室を用意、什器の選択もOK
4.WELLNESSを意識したサービス
 シェアオフィス初となるサプリメントサーバーなどの設置
5.スマートオフィスの進化に向けたトライアル
 効率的なオフィス管理に向けた実証実験を試行
6.その他のサービス
 有人受付代行、各種代行サービスなど
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●オープンエリアとプライベートエリア
「日鉄日本橋ビル」の3階が『WAW日本橋』ですが、東側半分は会員企業などが利用できる「オープンエリア」として会員企業の社員や個人の「シェア会員」などが利用でき、フリーアドレスの座席、個室、会議室などが設けられています。
 西側の半分がセキュリティ機能のついた「プライベートエリア」で、個人の個室会員、デスク固定の会員などのスペースになります。
 個室は最大13名までで、スタートアップ企業の入居などが期待されています。ここにも、会員限定のラウンジが設けられます。

●シェア会員なら月々2万5000円から
 賃料は、位置、広さなどによって異なります。
 最もやすい「シェア会員」は2万5000円から。オープンエリアを自由に利用でき、出張時のテレワークなどに最適です。
 手軽に住所利用できる「アドレス会員」は月5万円から。「日本橋一丁目」のアドレスで法人登記などが可能です。
 必要なときだけ利用する「ドロップイン会員」は1時間1200円からあります。会議室の利用も6名用で1時間3000円からです。

●30年前からこんなシェアオフィスがあれば
 最近は、大手不動産でもシェアオフィスの取組みが増えていて、取材機会が多くなっています。そして、そのきめ細かなサービスなどをみると、ついつい自分自身が30数年前に独立した時分のことを思い出します。
「あのころ、こんなサービスがあれば、安く、効率的に利用できたのになあ」と思ったりするわけです。独立当初は、資金面でのやり繰りがたいへんで、賃料が大きな負担でした。その点、いまの人たちは巡れているなあ、とため息をつくことしきりです。



posted by ky at 21:11| オフィス・商業ビル