2019年09月28日

宅配ボックスの設置で再配達率が41%から16%に激減――LIXIL実証実験

 LIXILは2019年5月から東京都江東区・江戸川区で、『IoT宅配ボックスによる再配達削減「CO2×ストレスフリー」実証プロジェクト』を実施しています。このほどその7月までの中間結果を公表されましたが、再配達率はプロジェクト開始前の41%から、16%に改善しているそうです。

●プロジェクトの最終報告は20年の春に予定
 この『IoT宅配ボックスによる再配達削減「CO2×ストレスフリー」実証プロジェクト』は、2019年5月1日から実施され、20年3月31日までの予定です。対象は、東京都江東区と江戸川区の100世帯で、佐川急便、日本郵便の協力を得て実施されています。
 今回の中間結果は、19年5月1日から7月31日までの間の実施状況に関するもので、最終的には20年31日まで継続し、その後に最終報告として結果を発表する予定だそうです。
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●3か月間でも301sのCO2削減効果
 中間報告によると、それまでは再配達率は41%だったのが、プロジェクト実施後には16%にダウンしました。
 LIXILの試算によると、再配達削減による宅配事業者の労働時間削減効果は141時間に及び、宅配事業者の働き方改革に大きく貢献できることが分かりました。
 また、再配達削減によるCO2削減効果は301sで、杉の木約22本のCO2吸収量に相当するそうです。江東区と江戸川区にそれだけ緑が増えているという考え方もできます。

●宅配ボックスもIoT化が進んでいる
 ひとくちに宅配ボックスといっても、その機能や価格は千差万別で、LIXILでは、宅配物の荷受けだけではなく、複数の荷受け、宅配ボックスからの発送が可能な集荷、スマートファン連携、カメラ機能を搭載した最上級機種は15万3000円からで、写真にあるように門柱の機能も果たすお洒落なデザインになっています。
 反対に宅配物の荷受けだけに絞ったシンプルな宅配ボックスは6万1000円からです。
 このうち、今回の実証プロジェクトはIoTがテーマなので、最上級機種を使用しています。
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●IoTの活用で再配達は格段に減少する
 このIoTを積極的に活用すれば、再配達率は劇的に減少することが分かりました。図表1にあるように、プロジェクト開始後の再配達は平均16%でしたが、IoTを積極的に活用している世帯だけに限ると10%までダウンしています。
 荷受け通知をスマホなどで確認するなど、IoT機能を上手に活用すれば、宅配会社の負担はさらに軽減されることになるはずです。
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●ストレスなしでネットショッピングを楽しむ
 もちろん、宅配会社の負担が軽くなるだけではなく、ユーザーにとってもメリットは小さくありません。
 宅配ボックスの設置によって、9割以上が宅配便に関するストレスが軽減されたとしています。
図表2にあるように、9割以上の人が「再配達を依頼する手間が減った」とし、ここにはありませんが、宅配便の受取りにストレスを感じなくなった結果、これまでより気軽にネットショッピングを楽しめるようになったとする人も少なくありません。

posted by ky at 10:53| 住宅設備

2019年06月28日

宅配便の受取りストレスを宅配ボックスが軽減――パナソニックの実証実験結果

 昨日のこの欄でお伝えしたように、国土交通省が行っている宅配便の再配達に関するサンプル調査では、都市部を中心に再配達率が改善されるところが、むしろ若干とは悪化する方向にあることが明らかになりました。その再配達率を引き下げるための決め手になるのが、宅配ボックスの設置です。今回は、その宅配ボックス設置による実証実験の結果をみてみましょう。
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●宅配ボックス設置で受取りストレスを解消できるか
 パナソニックとライフソリューションズ社は、2018年12月から東京都世田谷区の子育て世帯を対象に宅配ボックス設置に関する実証実験を行ってきました。宅配ボックスの設置によって再配達率の引下げ効果が大きいことは、これまでの調査で明確ですが、今回は一歩進めて、宅配ボックスの設置による宅配便受取りストレスの軽減がテーマになっています。
 プロジェクト名に「子育て世帯の受取りストレスを減らせ!プロジェクト」とあるように、宅配便の受取りストレス軽減が最大の狙いでしたが、ほぼ期待通りの結果になっているようです。
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●宅配便再配達の削減に確実に効果がある
 ネット通販の利用者の増加の一方、共働きなどで留守勝ちな家庭が増え、働き方改革が叫ばれるなかで、再配達による宅配業者の負担が軽減が喫緊の課題になっています。
 そのため、パナソニックでは、2016年に福井県あわら市、2017年に京都府京都市で宅配ボックス設置による再配達の削減効果を検証してきました。
 それによると、あわら市では再配達率が49%から8%に劇的に減るなど、大きな効果があることが確認されています。今回の世田谷区では、あわら市ほどではないのですが、それでも34%から14%に減少しています。
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●モニターの全員がストレスは「軽減された」
 この再配達率の引下げも重要ですが、今回の調査の主眼は、宅配ボックス設置によって、荷物受取りのストレスがいかに軽減されるかという点に置かれています。
 その点に関しては、受取りのストレスが「かなり軽減された」が71%で、「やや軽減された」が29%と、モニターの全員が何らかの形で、ストレスが軽くなった答えています。宅配ボックスの設置によって、荷物の到着時間などを気にせずに外出したり、家事に集中できるようになって、ストレスが軽減されたというわけです。
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●在宅していても出られないこともある
 しかし、子育て世帯だと、子ども寝かしつけているとき、授乳中など、宅配便が来てもすぐには出られないこともあります。そのため、在宅時の宅配便に関するストレスを聞くと、ストレスを感じる人も若干いるようです。
 ストレスは「かなり軽減された」が31%、「やや軽減された」が41%に対して、「どちらでもない」21%、「あまり軽減しなかった」8%となっています。
 いろんな事情から在宅していても玄関に出られずに、宅配ボックスに預けてもらうことになり、宅配便のドライバーに申し訳ないという気持ちが、それなりにストレスになったりするのでしょう。
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●在宅していても手渡しでなくもOKが増える
 ただ、今後は在宅していても手渡しではなく、宅配ボックスでの受取りもありではないかとする人が多くなっています。今回の実証実験のモニターにおいては、「手渡しでなくても良い」が95%で、「直接手渡しで受け取りたい」は5%にとどまりました。
 実証実験とは別のネット調査における同じ設問の回答では、「手渡しでなくても良い」は61%で、「直接手渡しで受け取りたい」が39%でした。
 実際に宅配ボックスを設置してみて、その便利さを体験してみれば、手渡しでなくてもOKということになるのでしょうか。
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●あらゆる荷物を受け取れるような宅配ボックスを
 そのためには、宅配ボックスの進化が求められます。宅配ボックスによってはゴルフバック、スキー板、サーフボードなどの大きな荷物は受け取れません。また、冷凍・冷蔵が必要な荷物にもまだまだ対応できないのがふつうです。書留などの重要な書類に関してもも受け取れるように工夫したケースも登場していますが、まだまだハードルが高いのが現実のようです。
 今後は、こうした荷物も受け取れるような宅配ボックスを開発、受け取る人たちのストレスがなくなり、宅配会社やドライバーの負担がいっそう軽減されるような仕組みの開発が期待されるところです。




posted by ky at 08:48| 住宅設備

2019年06月27日

都市部や都市部近郊で宅配便の再配達率が上昇傾向――国土交通省調査

 国土交通省は2019年6月26日、宅配便の再配達率の調査結果を公表しました。それによると、東京23区ので再配達率が若干上昇し、地方でほぼ横ばいという結果でした。

●再配達率は16.4%から18.0%にアップ
 国土交通省が佐川急便の飛脚宅配便、日本郵政のゆうパック、ゆうパケット、そしてヤマト運輸の宅急便を対象に、2019年4月1日から4月30日までの1か月間の宅配便取扱い件数、そのうちの再配達数、再配達率を調査しました。
 宅配便の総数は約235万件で、うち訳38万件が再配達となり、その再配達割合は16.0%でした。前年18年4月の再配達率は15.0%でしたから、再配達率は1.0ポイント悪化していることになります。

●2020年度には再配達率13%を目指す
 国土交通省では、宅配便の再配達の増加によるドライバー不足の深刻化を改善し、CO2排出量の削減を促進するため、「総合物量施策推進プラグラム」を実施、2017年度の再配達率の実績16%程度を、20年度には13%程度まで引き下げることを目標に掲げています。
 しかしながら、今回のサンプル調査では、その改善が決して簡単ではないことを証明する結果となっています。目標を達成するためには、宅配ボックスの急速な普及などが求められます。特に、単身や共働き世帯の多い都市部での改善が急務の課題となっているようです。

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●特に東京23区の中心部での再配達率が高い
 国土交通省では、調査範囲を3つのエリアに分けています。東京23区で人口密度が高く、単身世帯の占める割合が高い「都市部」、東京都郊外の市町村で世帯人口が多い「都市部近郊」、そして人口の少ない市町村で、人口密度が低く、世帯人口が多い「地方」になります。
 再配達率が最も高かったのは、「都市部」の18.0%で、前年の16.4%から1.6ポイント悪化していま。単身で、留守勝ちな世帯が多いため、最も再配達率が高く、前年からの上昇率も高くなっています。

●宅配ボックスなどの受取りの多様化に遅れか
 反対に、「地方」は12.4%、前年の12.6%から0.2%とはいえ再配達率が減少しています。「都市近郊部」は15.2%で、前年の14.3%から0.9ポイントのアップで、これは総計とほぼ同じような傾向です。
 国土交通省では、この調査を狙いを「宅配ボックスの普及促進をはじめとする多様な受け取り機会の提供等の取組み成果を明らかにするため」としていますが、残念ながら再配達率はわずかとはいえ上昇が続いていて、まだまだその取組みが不十分とはいえないようです。

●宅配ボックスを設置すれば明確な効果がある
 その点、宅配ボックスを設置すれば再配達率が低下し、受け取る側のストレスも大幅に軽減されることが実証実験で明らかになっています。次回には、その例として、パナソニックが東京都世田谷区の子育て世帯を対象に実施した実験の結果を紹介します。
 まだまだ、大型荷物や冷凍・冷蔵の荷物を受け取れる宅配ボックスの機能の充実が必要ですが、当面の再配達率を下げるためには、何より宅配ボックスの設置が不可欠といっていいでしょう。




posted by ky at 08:45| 住宅設備