2019年10月28日

埼玉県が『第11回彩の国みどりの優秀プラン賞』の受賞作7件を発表

 埼玉県では、「ふるさと埼玉の緑を守り育てる条例」に基づいて、1000u以上の敷地で建築行為を行う場合、一定の緑化基準を満たす緑化計画の届出を義務づけています。その届出のあった緑化計画のなかから、毎年、特に優秀で他の模範となる計画を表彰する「彩の国みどりの優秀プラン賞」を選定しています。2019年10月24日、その第11回、2019年度分の優秀プラン7件が発表されました。

●10月31日に知事公館で表彰式を開催
 2019年度の『第11回彩の国みどりの優秀プラン賞』の受賞作7件は次の通りです。10月31日に、埼玉県知事公館大会議室で表彰式が行われる予定です。
・桶川市役所(桶川市、株式会社日本設計)
・シティテラス八潮(住友不動産株式会社)
・春日部市立医療センター(春日部市)
・富士フイルムワコーケミカル株式会社埼玉工場富士フイルムワコーケミカル株式会社)
・オハナ蕨錦町(野村不動産株式会社住宅事業本部事業開発四部)
・行田市斎場(行田市)
・プレミスト戸田公園(大和ハウス工業株式会社東京本店マンション事業部、株式会社長谷工コーポレーションエンジニアリング事業部)
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●1533件のうちの7件、0.5%という狭き門
 審査は書類審査や現地確認の上、外部有識者で構成される「埼玉県みどりの再生県民会議優良緑化認定審査部会」で12計画を認定、そのなかから特に優秀で、他の模範となる7計画が優秀プランに選定されました。
 埼玉県によると、対象となる1000u以上の敷地計画の建築物は1533件だそうですが、そのなかの7件といえば0.5%という狭き門です。優秀プランに選定されるのは並大抵のことではなさそうです。
20191025131630_2[1].jpg敷地内に緑道を整備して地域に開放する
 そこで、受賞に関するリリースが送られてきた大和ハウス工業の『プレミスト戸田公園』の受賞理由などをみてみましょう。
 埼玉県の講評によると、
@建物の周囲を緑化率の高い高木で囲むことで、準工業地域で雑然とした印象の空間を緑による潤いと奥行きを感じる空間としている
A出入り口付近には居住者以外にも開放された緑道が整備され、近隣住民にも緑を身近に感ずることができるように工夫されている
 の2点が評価されての受賞だそうです。
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●ガラス張りのラウンジから庭の緑を臨む
 このAの緑道は「フォレストゲート」と名付けられ、住民の散策路であると同時に、地域に開放しています。また、ガラス張りのラウンジ「フォレストサロン」からは、四季折々の変化を実感できる庭の植栽を臨むことができるように配慮されています。
 そのほか、環境に配慮という点では、全戸にサイクルポートが設けられ、入居者が利用できるカーシェアも設置されています。

●鉄筋コンクリート造地上10階で総戸数100戸
 この『プレミスト戸田公園』、2018年1月竣工で、2月から入居が始まりました。建物は鉄筋コンクリート造の地上10階建て、総戸数は100戸です。専有面積が68.08u〜85.27uで、分譲時の価格は3800万円から5600万円、最多価格帯は4000万円台でした。
 最寄り駅はJR埼京線「戸田公園」駅で、徒歩時間は13分となっています。徒歩時間が長い割には分譲時の評価は高く、その最大の要因が、『第11回彩の国みどりの優秀プラン賞』を受賞した緑の充実といった点にあったようです。




posted by ky at 08:57| 住宅政策

2019年09月23日

超高層ZEH−M(ゼッチマンション)実証事業に4物件の採択決定

 経済産業省では、マンションのZEH化を進めるため、2018年度から「平成30年度高層ZEH−M(ゼッチマンション)実証実験」を公募したものの、残念ながら超高層マンションは採択されませんでした。そのため、2019年度には「平成31年度超高層ZEH−M(ゼッチマンション)実証実験」を新設、公募を行い、その結果を2019年9月18日に公表しました。

●太陽光発電の設置面積が限られるという課題
 ゼロエネルギーハウス(ZEH)は、住宅の断熱性を高め、省エネ機器を設置し、太陽光発電などの創エネによって、年間の一次エネルギー消費量を実質でゼロにするという住宅です。
 マンションの場合には、創エネの柱である太陽光発電設備を設置する屋上面積が限られる上、共用部分のエレベーターなどの電力消費が大きく、ZEHの実現は簡単ではありません。特に、超高層マンションでは開口部が大きいことがさらに困難さを高めています。

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●30年に新築の平均とするにはマンションが重要
 その一方、政府は「20年までに標準的な新築住宅で、30年までに新築住宅の平均でZEHの実現を目指す」という政策目標を掲げています。
 一戸建てのZEH化は大手住宅メーカーを中心に、かなり進んでいますが、新築住宅の平均でZEH化するためには、新設住宅の半数以上を占めるマンションのZEH化が不可欠であるとして、力が注がれているわけです。

●マンションZEH化のロードマップ作成
 マンションなどの集合住宅については、ZEHの定義や中長期での具体的な政策目標の明確化が不可欠であるとして、「集合住宅におけるZEHの定義」を定めた上で、「集合住宅におけるZEHロードマップ」を作成し、30年までに新築住宅の平均でZEHを目指すとする政策を促進したい考えです。
 ロードマップは図表にある通りで、設計ノウハウ、販売ノウハウの標準化などを進めて、30年までにマンションにおいても新築住宅の平均でのZEH化を実現したい考えです。

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●7物件のなかから4物件が採択される
 その方針に沿って実施されたのが、2018年度の「平成30年度高層ZEH−M(ゼッチマンション)実証実験」の公募であり、それに続く19年度の「平成31年度超高層ZEH−M(ゼッチマンション)実証実験」です。
 超高層に関しては19年7月に公募が行われ、7件の応募のなかから図表にある4件が採択されました。大和ハウス工業が北海道札幌市で手がける総戸数220戸、29階建ての超高層マンション、積水ハウスが大阪府大阪市で手がける総戸数188戸、33階建ての超高層マンション、東京建物などによる、東京都多摩市の、総戸数520戸の31階建て、そして野村不動産の大阪府大阪市の総戸数126戸、地上26階建ての4件です。

●積水ハウスは太陽光発電を補う全戸エネファーム
 このうち、積水ハウスの『(仮称)グランドメゾン上町一丁目タワー』は、超高層の課題である開口部には、高性能真空ペアガラスを使用、採光や眺望を確保しながら高い断熱性を実現しました。
 また、屋上には3.92kWの太陽光発電設備を設置しているものの、それだけではZEHを実現できないため、全戸にエネファームを設置しています。周知の通り、エネファームは都市ガスから効率よくお湯と電気をつくり出します。
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●総戸数520戸の超大規模マンションも採択される
 東京建物の『(仮称)Brillia Tower聖蹟桜ケ丘 ブルーミングレジデンス』では、断熱性能の向上や高断熱サッシの採用、高効率給湯設備などの採用によって、6階建て以上のマンションで目指すべき「ZEH−M Oriented」の基準を満たすことに成功しました。
 今回採択された超高層マンションのなかでは、唯一の首都圏立地であり、規模も520戸と群を抜いており、話題性が高まりそうです。

●補助金は1事業当たり最大で10億円に
 今回の実証事業における補助金は、1年当たり5億円が上限で、複数年にわたる場合には、1事業当たりの上限が10億円となっています。
 あくまでも仮の数字ですが、上限の10億円の補助金であれば、総戸数が200戸なら、1戸当たり500万円、500戸なら200万円ですから、その効果は小さくありません。買い手にとってみれば、販売価格が実質的にそれだけ安くなるわけですから、注目しておきたいところです。




posted by ky at 08:51| 住宅政策

2019年08月29日

目新しさに欠ける2020年度の住宅関連の概算要求と税制改正要望

 2019年8月28日、20年度に関する政府予算への各省庁の概算要求、税制改正要望が出揃いました。昨年は、20年10月の消費税対策としてさまざまな施策が盛り込まれましたが、今回はさほど目新しい項目が見当たりません。ほんとうに、これで米中貿易摩擦、日韓関係の悪化などの先行き不安が強まるなか、10月からの消費税増税を乗り切れるのでしょうか。

●住宅局の住宅対策予算は前年度比P0.97に
 2020年度政府予算に関する国土交通省住宅局の概算要求事業費は3兆1446億4700万円です。19年度の実績は3兆2422億円でしたから、前年度倍率は0.97で、3%の減少になります。
 なかでも最も大きいのが住宅金融支援機構関係の2兆4625億5000万円ですが、こちらは前年度倍率は0.95と、5%のダウンになっています。次いで住宅市街地総合整備が5806億4700万円で、前年倍率は1.05ですから、こちらは5%の増加です。

●20年度予算概算要求の4大重点ポイント
 この20年度政府予算への概算要求のポイントは、次の4点です。
@すまい・くらしの安全確保
A老朽化マンション対策・空き家対策と既存住宅流通の活性化
B安心して暮らせる住まいの確保と共生社会の実現
C住宅・建築物の質の向上とそれを支える住宅産業の生産性と成長率の引上げ加速
 そのなかでも、新たな投資を促す誘発効果の高いもの、緊急性の高いもの、民間のノウハウを活かした既存ストックを有効活用するもの、重点的に支援し、限られた予算のなかで、最大の効果を発揮したいとしています。

●住宅・建築物の耐震改修等の推進を一段と
 まず、@すまい・暮らしの安全確保においては、災害に強いまちづくりの支援、住宅・建築物の耐震改修等の推進、東日本大震災からの復興・創生、大規模自然災害からの復旧・復興などが盛り込まれています。
 大震災からの復興に依然として予算が注がれるほか、各地の豪雨災害などへの対策にも力が注がれています。
 また、そうした大震災や各種の災害に負けない安全、安心のまちづくり、住まいづくりについても予算が注がれます。
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●マンションのライフサイクルの確立を推進
 Aの老朽化マンション対策・空き家対策と既存住宅流通の活性化に関しては、図表にあるように、築30年超の高経年老朽マンションの割合が年々高まっており、対策が喫緊の課題となっています。
 20年度予算では、老朽化マンション再生モデル事業の予算が倍増するほか、長期優良住宅化リフォームなどに予算が注がれます。それによって、マンションのライフサイクルを確立し、建替え、売却、用途転用などへの道筋をつけたい意向です。
 さらに、空き家対策について、「空き家対策総合支援事業」の国費を50億円と、1.52倍の予算をつけて、本格的な推進に乗り出します。

●若年・子育て世帯への支援を一段と強化
 B安心して暮らせる住まいの確保と共生社会の実現では、特に若年・子育て世帯への支援に力を入れる方針です。具体的には、地域居住機能再生事業に前年の1.75倍とする513億8600万円の予算をつけ、優良住宅整備促進等事業費補助にも287億2100万円の予算を組む予定です。
 一方、高齢者が自立して生活できる住生活の実現にも力を入れ、地域居住機能再生事業費として513億8600万円、スマートウェルネス住宅等推進事業の予算を275億円などとしています。
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●地域型住宅グリーン化事業に135億円
 さらに、C住宅・建築物の質の向上とそれを支える住宅産業の生産性と成長率の引上げ加速に関しては、19年6月に「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」が閣議決定されたのを受けて、省エネ住宅・建築物の整備に向けた体制整備、サステナブルな社会の形成に役立つリーディングプロジェクト、中小工務店等の連携によるZEHを初めとした省エネ性能の高い住宅の整備などの支援が行われます。
 たとえば、地域の中小工務店などが対象の地域型住宅グリーン化事業には135億円の予算が充てられます。これは国土交通省管轄のZEH促進策ですが、ZEHに関しては、環境省、経済産業省、国土交通省の三省連携による補助金制度が継続されます。

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●すまい給付金は10%時には最大50万円に
 なお、国土交通省ではこの20年度予算概算要求のなかで、10月からの消費税増税に対応したすまい給付金の増額措置についても触れています。
 9月末までの消費税8%で取得した場合には、すまい給付金は最大30万円ですが、10月以降、10%で取得した場合には最大50万円に拡充されます。また、対象とする年収に関しても、510万円以下から775万円に引き上げられます。

 以上が国土交通省関連の概算要求の住宅関連のポイントです。税制改正要望に関しては次回に取り上げることにしましょう。



posted by ky at 09:49| 住宅政策