2019年11月03日

衰退する大規模団地の再生を目指す『野七里テラス』がオープン――大和ハウス工業

 戦後の高度成長期に開発された大規模団地の少子高齢化による衰退が、大きな社会問題になっています。大和ハウス工業が手がけた『上郷ネオポリス』も例外ではありません。それを住民の手によって蘇らせそうとする試みがスタート、開発者である大和ハウス工業などが協力して『野七里テラス』がオープンすることになりました。2019年10月19日、そのオープニングセレモニーに出席してきました。
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●敷地約46万u、約700区画の大規模開発
『上郷ネオポリス』は神奈川県横浜市栄区野七里一丁目・二丁目、桂台南二丁目の一部を含む約46万uに及ぶ大規模なニュータウンです。JR根岸線の「港南台」駅からバス18分の場所にあります。
 1970年から開発がスタートし、72年から販売が始まった一戸建ての住宅団地。販売区画数は約700区画で、上郷ネオポリス自治会によると、19年9月現在の総戸数は868戸に及ぶそうです。
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●住民の50%以上を高齢者が占める現状
 もちろん、開発当初は30歳代、40歳代の若い人たちが中心でしたが、長い年月の間に高齢化が進み、現在の地域の高齢化率は50%を超えているそうです。もともと住んでいる人が高齢化し、若い人たちは団地を出て行ってしまいました。
 そのため、写真にあるように空き家や空き地が増え、多数あった店舗も閉店し、街の活気が失われ、横浜市という首都圏の大都市のなかにありながら、限界集落のような様相を呈しているそうです。

●大和ハウス工業が自治会と協定書を結ぶ
 そこで危機感を持った地域住民が、地域の再生への取組みをスタートさせました。@高齢者の不安が少ない街、A多世代にわたり持続可能な街、B老若男女が常に輝ける街、C資産価値が維持できる街、Dお互いが助け合える街――を目指して、民産学官の連携による「上郷ネオポリスまちづくり協議会」が設立されたのです。
 それに対して、開発者である大和ハウス工業も、16年6月、街づくりに積極的に関与することを前提に、「上郷ネオポリスにおける接続可能なまちづくりに関する協定書」を締結しました。
「野七里テラス」外観.jpg現在の商店街.JPG現在の住宅街.JPG 
●オープンセレモニーには区長も出席
 こうして大和ハウス工業を中心とする再生への取組みが本格化、住民が運営するコンビニ併設型のコミュニティ施設『野七里(のしちり)テラス』がオープンすることになったわけです。
10月29日のオープンセレモニーには、自治会の関係者のほか、大和ハウス工業の代表取締役社長・芳井敬一氏を初め複数の役員クラスが出席し、来賓として横浜市港区の区長・星崎雅代氏も出席、地元からの熱い期待がうかがえます。
 セレモニー当日は、あいにくの雨模様ながら、写真にあるように関係者や地元の住民が多数集まって盛り上がりました。

●コンビニの収益をコミュニティ施設の運営費に
『野七里テラス』は、ローソンのコンビニエンスストアが中心になりますが、運営は地元住民が中心になります。地元農家の食品などを中心に品揃えの充実を図り、バスなどに乗って港南台の駅前まで出かけなくて済むようにします。
 店長や店員も地元の高齢者、アルバイト・パートで賄い、雇用を発生させるほか、収益を隣接するコミュニティ施設の運営費に充てます。そのため、協議会では、「なるべく買い物はローソンで済ませ、地元に収益を還元するように住民に働きかけています」としています。
現在の「上郷ネオポリス」.jpg開発当社の「上郷ネオポリス」.jpg
●全国の大規模団地再生のモデルになるか
 この『野七里テラス』の意義について、大和ハウスの芳井社長は、
「住民の皆さんの熱い思いがこの『野七里テラス』を実現させました。今後の運営については活かすも殺すも皆さん次第です。ぜひ積極的に運営に参加して、成功させていただきたいものです。そうすれば全国700以上ある大規模団地を再生させるモデルになるものと期待しています」
 と語っています。大和ハウス工業にとっても、新たなビジネスチャンス到来といったところでしょうか。

posted by ky at 09:32| まちづくり

2019年10月29日

ミサワホームなどが『アスマチ藤沢』を含む『藤沢市藤が岡二丁目地区整備事業』着工

 ミサワホームが同社初となるPFI事業として、2019年10月25日、『藤沢市藤が岡二丁目築整備事業』を着工しました。藤沢市が所有する公共施設を建替え、民間収益施設と一体で整備します。保育園などの公共施設とともに、民間収益施設として『(仮称)アスマチ藤沢』が誕生する予定です。

●老朽化施設を再整備するためのPFI事業
 神奈川県藤沢市では、「藤沢市公共施設再整備基本方針」に基づいて、藤沢市が所有する老朽化した施設を解体、安全性を確保するとともに、機能集約・複合化による公共施設整備を進めています。
 その一環として2016年に藤が岡二丁目地区で老朽化した保育園や職員住宅、看護師寮の解体、跡地での公共施設と民間収益施設の複合施設として一体で整備するPFI事業の公募を行いました。
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●地元企業など3社と共同で事業に応募
 ミサワホームは、関連会社のマザーズなどを通して介護施設の運営など医療・介護・子育て支援を中心とした社会的課題の解決を促進する複合施設、コンパクトシティ型の不動産の開発などに力を入れています。2018年にオープンした「アスマチ浦安」がその第1弾です。
 そうした方向性から、ミサワホームでは、ゼネコンの門倉組、設計の三橋設計、施設運営の工匠と4社共同でPFI事業に応募、採択されました。

●『(仮称)アスマチ藤沢』などは21年4月に開業予定
 計画によると、公共施設としては、藤が岡つどいの広場、放課後児童クラブ、藤が岡保育園などが整備され、民間収益施設としては、小規模多機能型居宅介護施設、フィットネススタジオ、放課後等デイサービス、クリニックなどが整備されます。このうち、民間収益施設は、『(仮称)アスマチ藤沢』としてミサワホームが所有する計画としています。
 建物は、鉄筋コンクリート造の地下1階、地上3階建てで、19年10月に着工し、21年2月の竣工予定で、4月から開業予定です。



posted by ky at 08:51| まちづくり

2019年08月31日

東急電鉄が進める「渋谷二丁目17地区市街地再開発事業」が本格始動!

 東急電鉄、東急不動産は本拠地である渋谷で、100年に一度といわれる再開発に取り組んでいます。その進捗状況に関して、定期的に「変わりゆく渋谷」として、報道向けの発表会を行っており、2019年8月28日、その第10回目が開催されました。
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●4つのプロジェクトの最新情報の報告
「変わりゆく渋谷」の第10回では、以下の4つのプロジェクトに関して、現状の進捗状況が報告されました。
@「渋谷スクランブルスクエア第1期(東棟)」の最新情報
A「渋谷フクラス」の最新情報
B「公民連携・まちぐるみでの取組み」に関する最新情報
C「渋谷二丁目17地区」に関する最新情報

●渋谷最高峰の展望施設「渋谷スカイ」の全貌
 @の「渋谷スクランブルスクエア第1期(東棟)」は、2019年11月に開業予定ですが、その45階、46階、屋上に設置される渋谷最高峰の展望施設「渋谷スカイ」の施設内容が公表されました。
 渋谷のスクランブル交差点を眼下に臨み、富士山や東京スカイツリーなどを一望できるパノラマビューを最大限満喫できます。圧倒的な屋上空間のほか、雨の日でも楽しめる屋内展望回廊、オリジナル商品を揃えたスーベニアショップなどが設けられます。
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●オープン月の11月分の入場券はWeb限定
 入場料は大人が2000円ですが、オープン月の11月のみ1800円になります。11月分はWeb限定販売で、完全予約制です。9月1日から予約が可能。12月1日以降の入場料は2000円で、10月1日以降にWeb予約のほか、14階にあるチケットカウンターで購入が可能になります。
 営業時間は午前9時から午後11時までで、渋谷の夜景もたっぷりと楽しめます。渋谷駅上の新たな名所になるのは間違いないでしょう。

●バスターミナルや観光支援施設が誕生
 Aの「渋谷フクラス」は、旧東急プラザ渋谷の建替え事業で、今年の12月に開業予定です。2階から8階と最上階の18階が新たな東京プラザ渋谷になり、9階から16階がオフィスで、そのほか3つの新たな施設が誕生します。
 1階のバスターミナルには羽田・成田空港からのリムジンバスが乗り入れ、渋谷を訪れる観光客の玄関口としての役割を果たします。
 その1階には、観光支援施設「シブヤサン」が併設されます。観光情報案内、荷物預かりのほか、アートイベントなども行われる予定です。「シブヤサン」の「サン」は、「田中さん」「佐藤さん」などの「サン」で、親しみを込めた名称としています。
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●東急プラザ渋谷の内容は9月11日に公表
 さらに、17階には、「ビジネスエアポート渋谷フクラス」が12月9日に開業します。東急不動産が都内で展開する会員制シェアオフィスの10店舗目の施設になります。渋谷の駅前ですから、人気のシェアオフィスになるのではないでしょうか。
 なお、新たな東急プラザ渋谷に関しては、すでにほとんどの店舗構成が決まり、9月11日にその詳細が発表されることになっています。報道向けの発表会も予定されているようなので、本欄でもできるだけ早くお伝えしたいと思っています。

●東口広場に「アップライトカフェ」が誕生
 Bの「公民連携・まちぐるみでの取組み」に関する最新情報は、渋谷駅東口地下広場が11月1日から一部供用開始予定です。東京メトロなの渋谷駅宮益坂中央改札から、JR東日本渋谷駅への乗り換えルートが分かりやすくなり、乗り換え時間も短縮されます。
 また、地下2階には「アップライトカフェ」がオープンします。渋谷の玄関口として、駅を利用するあゆらる人たちが居心地よく過ごせ、交流できる場を目指していま。

●AからDまでの4エリアの誘導サインを導入
 さらに、駅周辺の誘導サインが更新されます。これまでは1から16Cまでの通し番号で、位置関係が分かりにくかったのですが、A〜Dの4エリアに分けて表示することになります。
 渋谷駅の北西方面、道玄坂方面をAエリア、北東方面の宮益坂・東口方面をBエリア、南東方面の南口方面をCエリア、そして南西方面、本格的な再開発がスタートした桜丘方面をDエリアとして、駅から遠いほど数字が小さく、中心部ほど多くなって、A1〜A12などとして表記されます。
 渋谷に慣れない人でも、また海外からの観光客などもこの誘導サインによって目的地にスムーズに到達できるようになります。
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●回遊性を高め、渋谷駅東口エリアの賑わいを創出
 19年8月28日、「渋谷二丁目17地区第一種市街地再開発事業」について、東京都知事から再開発組合の設立認可を受け、本格的に事業がスタートしました。
 渋谷ヒカリエと国道246号線の間の坂道の中腹にあるエリアで、宮益坂、明治通り、青山通りの幹線道路に囲まれ、周辺エリアとの円滑な回遊が妨げられ、エアポケットのように取り残されてきました。そこを周辺と一体化できるように再開発、回遊性を高め、渋谷駅東口エリアの賑わいを一段と高めることができるのではないかと期待されています。

●渋谷育ちの成長企業をつなぎとめるオフィスに
 施行面積は約0.5万uで、地下2階・地上23階、高さ120mの建物になります。低層階は店舗で、地下は駐車場、メインはオフィスになります。
 19年8月に市街地再開発組合設立、20年度の権利変換計画認可を経て着工、そして24年度の竣工、開業を目指しています。
 渋谷エリアは商業施設に比べてオフィスビルが不足しており、成長企業が広いオフィスを求めて他のエリアに出て行くケースもありますが、開発を推進する東京電鉄では、そうした企業をつなぎ止める役割を果たしてくれるのではないかと期待しています。
posted by ky at 09:06| まちづくり